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淫徳のスゝメ
第9章 *最終章*私が淫蕩に耽った末のこと

* * * * * * *

 稜は私の手を引いて、広間を抜けた。



 私の部屋は、五年前と変わらない。

 華美な装飾の施された猫脚の家具に、たっぷりのドレープがかかったピンクのカーテン、ふかふかの絨毯、絵画や陶器やぬいぐるみ。天蓋ベッドは変わらず一台、元々ダブルサイズだったそれは、稜を毎晩寝かせたところで、狭苦しくなることはない。強いて変化を挙げるとすれば、クローゼットが六から十に増えたくらいだ。


「っ、ん……」

 後ろ手に扉を閉めた稜の唇が、私を塞いだ。

 啄むだけの甘いキスは、不可抗力に支配された磁石同様、間断なく私達を連結させて、二つの味をまぐわせてゆく。


 私達はキスしながら寝台に転がり込んだ。

 稜が私を組み敷いて、また唇に吸いついて、私の乳房を手持ち無沙汰にする。


 ちゅ、ちゅ……ちゅぅぅ……ちゅ…………


「んふっ……ん、はぁ、ぁっん!んんぅぅ……っっ」


 私は下半身をうねらせながら、稜に腕を巻きつける。

 稜は私の乳房を遊びながら、ドレスに侵入していった。力強い繊手が羽根のように太ももを這って、それと同じ感じの指が、私の乳房を揉み上げる。



「酷くされたい?」

「はぁ、はぁ……」

「きよらを見て、あんな風にされたかったんでしょう?」

「あっ、ああぁ……ああ!」


 きゅぅぅ…………


 内股をつねり上げた稜の指が離れていった。続けざまに、その手の平が疼痛を打った。


「あっ」


 とろっ……くちゅ…………


「いやらしいこと……。妹を見て濡れたのね……。妹のあんな痴態を、姫猫は羨ましかったのね……」


 くちゅ……ちゃぷっ、ちゃぷ…………


「はんっ、ぁっ、ああん、あんっあん!……あ、……」
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