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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと



「ぅ……ひく……」

「遊くん」

「なーにぃ?まりあちゃん」

「皆様や、お父様や姫猫の前よ」

「まりあちゃんもやって欲しい?夜の遊戯じゃ足りないんだ。おっ、それとも皆様の前の方が燃えるパターン?」

「っ……!!」

「くくっ、ごめんごめん。それ以前にご無沙汰か?」



 お母様の顔が真っ赤に染まった。きよらのように泣きべそもかかず、声を上げもしないのは、お母様とお兄様の間には一種のボーダーラインがある所以か。


 もっとも、私ときよらもお兄様とは血縁がない。



 お兄様は、お父様の前のパートナーの一人息子だ。



「ご馳走様です」

「姫猫、ガッコ?」

「ええ」

「お前相変わらずエロい身体してんなぁ」

「私はきよらと違ってセフレもいるので」

「マセてんなぁ。オレともハメよ」

「お兄様は、いつまでここに?」

「二、三日泊まってくつもり」


 お母様が、向かい側から何やら喚いた。

 私はお兄様との約束をとりつけるのに集中していた所以、お母様が何を言わんとしていたのか聞き損ねていた。



「姫猫」


 今度割り込んできたのは、お父様の声だ。


「何?」

「お前に会わせたい方がいる。明日は予定を空けておきなさい」

「分かったわ。……お兄様。そういうわけだから、明日以外致しましょう」

「お前のメイドも誘ってくれよ。ドツボなのが一匹いたんだけど」

「贅沢ね。代わりに今度、お兄様のセフレを借りるわ」



 私は食事中のお兄様を席から立たせ、玄関へ向かいながら話をした。


 食卓は、騒がしかった。泣き出したお母様ときよらの行儀を、お父様が咎め始めたからだ。
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