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淫徳のスゝメ
第9章 *最終章*私が淫蕩に耽った末のこと
私がお兄様から譲り受けた製薬会社は、その昔、お父様が早良と契約してその庭園から仕入れた薔薇のエッセンスを原料に生産している製品を、今でも扱っている。
名前だけで値段のつく、少しばかり著名なコスメメーカーの出しているスキンケア用品とまるで同じだ。珍種の薔薇の美容液は、優れているのはフレーバーだけ、匂いを除けばこれといったセールスポイントもない。
私は代表取締役の椅子に座ってから、一番にその改良を開発部に命じた。
あんなにも心安らぐ、私でなくても旧懐にいざなわれよう香りの製品で赤字が出たなら、問題は開発部の怠惰にある。彼らの解雇を仄めかして、釘を刺した。
「…………」
美容効果が、ないわけではなかったかも知れない。
薔薇の匂いは、まるでまづるの存在感だ。
私はフレグランスのような美容液を身につけて、自慰が捗る。
彼女の疎んだ女としての肉体が、潤って、きらめいてゆくエクスタシーに引き上げられる。