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淫徳のスゝメ
第9章 *最終章*私が淫蕩に耽った末のこと

* * * * * * *


 一昨年の夏、私は僅か数ヶ月の海外生活に終止符を打った。



 姫猫は──…少なくとも誰より共感していたはずの彼女は、今となってはセックスフレンドか、配偶者か、親友か、何と呼べるか甄別し難い。


 無機質でさえ形を変える。血が通っている人間なら、尚更だ。


 私達の間に永遠はなかった。

 姫猫は私の殺害計画を企てて、私はメイドを身代わりにして、彼女を欺いた。





「まづる様。私は別室で寝て参ります。どうかベッドをお使い下さい」

「待って」

「私なんかが、ご主人様のお嬢様と寝室を共にさせていただくわけには参りません」

「水臭いこと、言わないで……」



 あるじのいない、がらんどうな一軒家。


 映画やドラマに見られるような庶民の住まいは、それでも、さすがは元県知事の秘書、今は首相の雑用係を務める女の持ち物だ。

 心地の良い間取りに快適な空調、一つ一つの照明、家具、調度品はすこぶる上品で、さっき就寝した彼女の愛息子も礼儀正しい少年だった。



 私は舞さんの私宅にいた。

 会社の慰安旅行に出かけた彼女の配偶者の不在を狙ったのである。


「眠るのに気が引けるなら、一晩中、可愛がってあげるから……」

 ノブに伸びた腕を抑え込むようにして、私は舞さんを捕まえた。

 私は後方から抱いた舞さんの乳房を探って、耳朶をキスでくすぐりながら、寝間着一枚が覆っただけの乳首を遊ぶ。


「はぁ、はぁっ…………」

「いやらしい、声。さっきあんなに暴れたのにね」


 くちゅ…………


「ゃっ」

「まだ濡れてる。舞さん、健斗くん、起きるよ。私のために感じちゃってる可愛い声、聞こえちゃうよ」


 私は舞さんの泉門ばかりをいじる。顫える肢体を片腕に押さえて、円を描くウエストに私自身を押しつける。
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