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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと
「いらっしゃい、ようこそ」
「ご無沙汰しております、有本さん。娘の姫猫です」
「初めまして、有本様。仏野姫猫です。どうぞお見知り置きを」
「まぁまぁ可愛いお嬢さん。どうぞお二人とも、楽になさって」
有本さんは、朗らかな貫禄を湛えて私達を着席させた。
四十代半ばの女らしい、いかにもキャリアを積んだ王者。有本さんを一言で説明すれば、そんなところだ。
艶のある雲鬢は、西洋の歴史資料集に見るブルジョア層の女を気取って結い上げてあり、モスグリーンのカットソーに光沢のあるワイドパンツが、締まった彼女の肉体をより優艶に引き立てていた。
食前酒のグラスを打ち鳴らすと、私達は食事を始めた。
お父様と有本さんを仲立てたのは、共通の友人達だ。というのは、オードブルを味わう時点で、彼らの会話から汲み取れた。
二人は他愛のないはかなしごとから、深入りした話題を交わした。私も有本さんの質問に、おりふし答えた。