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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと
「お気を確かに。聖司さん、貴女は実の娘に欲望の矛先を向けられたのですよ。母親が娘を守るのは当然です。まして姫猫が貴方に組み敷かれたのは、結婚適齢期にも至らなかった頃……。貴方は姫猫の人生を滅茶苦茶にしました。いいえ、たとえ姫猫が成人してから愛したとしても、貴方の行為は犯罪です。神への冒涜です」
「ならば、まりあを抱くのも無法だったということになるな……」
お父様は、私とお母様に洋服を脱ぐよう命じた。
お母様は一年振りに大声を出し、お父様を手こずらせた。そうしながらも、お父様の労苦あって、一糸まとわぬ裸体になった。
私はお母様の白い肉叢が暴かれてゆくのを眺めながら自ら洋服を取り除いてゆく間、蓮美先生のいた頃を思い出していた。
情熱的なお母様。慎ましやかで聡明で、ひと昔前の悪い女の典型のようなお母様は、その媚態さえ悪辣だ。
口先だけは達者で、世の男達が想像を絶するまでに、考え深い。
そのくせ無力で、ある一線を自ら超えることを戒める。組み敷かれて従うだけのマリオネット──…。
お母様のように勝手の良い女の所為で、いつの時代も、先進的でまことに心理を見極めんとする女は異端視されて、時代の攻撃に葬られてきた。