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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと
「愚痴聞き逃すと余計に面倒になるし。特にお母さんなんて、さんざん夫婦生活とやらの後悔を私に話したあとに、私に彼氏はまだかっておどけてくるの。心ゆくまで男女の壁を見せつけておいて。幸せ絶好調な唯子ちゃんにこんな話もアレだけど、あれ、私に不幸になれって言ってるのと一緒じゃない?」
「そうかしら。叔父さんが気に入らないだけでしょ?叔母さん、まづるちゃんなら、イイ男見つけてくるって信じてるんだわ」
「唯子ちゃんは、私がイイ男見つけてきたら、どうする?」
「祝福するわ」
「…………。男、無理なんだけど」
「若い内よ。私も昔は怖かったな」
唯子ちゃんがからから笑った。
石ころを投げればヘテロセクシャルの人間に当たる。
肉体も、精神も、女と男とでは異質すぎる。
異質すぎる生物同士が結ばれる、そこに何ら疑問もいだかず、すれ違えば気が済むまで罵り合って、されどその確執が性別の壁のもたらす不幸と考える人間は稀だ。
狂っている。学習能力に欠けた大人達。
私の家出は、両親の不仲にくたびれたのにとどまらないかも知れない。