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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと
* * * * * * *
私は、まづるさんに彼女の私室へ案内された。
白とピンクが大半を占める、陽当たりが良く、屋敷の中で、そこはひときわ華やいでいた。
想像のついた彼女の私室は、一角だけ、一種異様な光景だった。
家具を除いた空間に、秘境を庇う役目をほぼなさない肌着をつけた女が繋がれていた。
女はまづるさんを見上げるや、飼い主を迎え出たペットよろしく、純朴な顔を明るめた。
「姫猫さん。彼女は私のお気に入りの三井田舞さん。優しくて勤勉家で、二十代で熊木知事の秘書を務めてるんだ」
まづるさんは、舞さんと目と目の高さを合わせると、もの欲しげに綻んでいた薄い唇に吸いついた。
一つに結んだ黒髪に、ほんのり焼けたきめこまかな肌──…舞さんの節々に見られる薄い縄型の線は、まづるさんによるものか、彼女の愛娘の父親によるものか、それとも別の加虐の痕か。
ちゅっ、ちゅ…………ちゅ、ちゅる…………
見ているだけで顔に熱が昇るようなキスは、私に一種の反感を与えた。
まづるさんは舞さんのふくよかな乳房を撫でながら、恋人が恋人にじゃれる手つきで、おりふしブラジャーのワイヤーをくすぐっていた。労働階級の女は幸福な息に頼ってまづるさんを馴れ馴れしく呼び、手錠の鎖を鳴らしながら、あるじに身体をすり寄せる。