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淫徳のスゝメ
第2章 私が享楽的親友に出逢うまでのこと





 一本鞭は、痺れるような刺戟を私に散らした。



 ひゅ…………べちっ……びしっ…………



 私に装着されたクリップは、おりふし舞さんの指先にもてあそばれて、まづるさんの味を啜ったその唇に咥え込まれる。


 舞さんが私に施す拷問は、まさしく飴と鞭だった。

 撫でては打って、打っては撫でる。



 それまで私を辱めた富豪達は、有本さんを含んで数知れなかった。

 私はこの責苦が苦手だ。

 手当てに抜かりなかった甲斐あって、今のところ残る傷を負ったことはなきにせよ、人手も時間も甚だかけて保っている真珠肌が、長くて一週間は赤らむからだ。


 それと同時に好んでもいた。


 とりわけ舞さんの鞭は、二十発を超えたところで私を耽溺させた。



 ビシィィィッッ…………


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"っっっ…………」



 私のものとは信じ難いような絶叫が、今また喉を突き抜けていった。

 呼び水の一環だった具合の鞭打ちは、徐々に残忍性を伴ってゆき、今や本性を剥き出しにした毒蛇だ。私の臀部に襲いかかるや、張り裂けんまでの激痛を刻む。


 ひゅっ…………ピシィィィッッ…………


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"っっっ…………」


 舞さんの唇が臀部を這う。

 甘やかされたい私の臀部は、しがない労働階級の女に媚びて、ひくひくすり寄る。
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