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わたしはショートケーキが嫌い
第2章 ダークヒーロー

私の疑問に思っている事を汲み取り答えた男は私から目を逸らし、視線を私の後ろに向けた。
その目はギラギラしていて、まさに殺人鬼って目だった。
恐ろしい目。
男は血だらけの手を私のほっぺから離すと、手を伸ばし何かを握った。
グチュっと背中に鳥肌が立つような音に私は身震いしながら、ゆっくりと後ろを向いた。
振り向いた先には血だらけの手で形を握り崩されたショートケーキの姿があった。
「‥‥‥気持ち悪い」
ボソッと一言そう言うと、男はショートケーキのクリームと血で汚れた手で私の手を握った。
クリームの油っこさと血の感触が気持ち悪くてゾワゾワする。
「いや‥‥‥はなし‥‥て」
勇気を振り絞り抵抗してみた。
けど、男は手を握る強さをさらに強めて離してくれそうになかった。
血の臭さとショートケーキの甘い匂いが混ざり合って吐き気を催す。
嗅いだこともない気持ち悪くてひどい悪臭。
男は私の手を引っ張り立ち上がらせると、パパが倒れているであろう玄関に向かって歩き始めた。
「ずっとここにいたら警察にバレちゃうからね〜ん。ちょっとご避難しましょ」
ふざけた様な口調でそう言いながら短い玄関の廊下を私の手を引いて歩く男。
私は怖くて抵抗できなかった。
玄関につくと、パパが予想通り倒れていた。
腰に巻いていたタオルははだけ、股間は陰部を雑に切断されてグチャグチャに傷んだ肉と血しかなかった。
男性を象徴するものは、この男のポケットの中にあると思うとゾッとした。
 

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