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わたしはショートケーキが嫌い
第3章 殺人犯とJK
そろそろ痛みが襲ってくるだろう。
あと5秒後?4秒後?3秒後?
恐怖に震えながら襲ってくるだろう痛みに覚悟を決めていた。
けど、一向に痛みが襲ってこない。
私はゆっくりと目を開けた。
目の前には真剣な顔をして包丁を持っている男の姿があった。
可愛らしい丸い目は鋭さを帯びていて、ギラリと光る。
刺すなら早く刺して欲しかった。
早く恐怖から開放されたい。
そう思いながら男が持っている包丁にもう一度目を向けると、刃が私の方に向いていなかった。
向いているのは丸みを帯びた持ち手の方だった。
「え‥‥‥?」
訳が分からず情けない声を上げると、男は優しく笑った。
この男が私に見せる笑顔はどうしてか優しい。
「美咲ちゃん?昨日も言ったけど僕は君を殺さないよ?君だけは絶対に殺さない」
「‥‥‥‥っ」
「信じられないなら今ここで僕を刺して逃げな。僕を刺しても正当防衛になるから美咲ちゃんが捕まることはない」
そんな奇想天外なおかしい事を言うと、男は私の手を取り包丁の持ち手を持たせた。