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わたしはショートケーキが嫌い
第5章 はじめての宗教
ポンポンと2回優しく頭を叩き、泣いて震える美咲ちゃんを宥める。
僕にはこれくらいしか出来ない。
代われるなら代わってあげたい。
僕の人生もいいものとは言えないが、君と比べればいいものだと思う。
だから僕が君になって、君の人生を貰いたい。
そして君にはもっと幸せな人生をあげたい。
普通の17才の人生を、あげたい。
もう普通の17才にはなれないけど、辛い17才“だった”にはできる。
その手伝いを僕はしたい。
「私は愛されたかった。娘として愛されたかったの!!ただそれだけだったのに!!」
愛されたかった。
その気持ちはわかるよ。
「‥‥‥僕も愛されたかった」
美咲ちゃんを抱きしめながらボソっとそんな事を呟いていた。
「僕もね、愛してもらえなかった。けど僕は愛してたんだ」
そう言いながら思い出していたのは、綺麗に化粧をしたあの人の横顔。
それから、くまのぬいぐるみを抱えていなくなった3才の女の子の泣き顔。
その女の子に僕はこう言ったんだよな。
『辛いなら辛いのを幸せなことにかえちゃえばいいよ。そうすれば辛くないよ。辛いことなんて忘れちゃえばいいよ。だから はぼくを忘れなね?』
そう、僕はそう言ったんだよな。