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わたしはショートケーキが嫌い
第7章 グレーテルは知らない



林檎を一つ手に取る。
やっぱりボコボコした見た目の悪い林檎。
けど私はこの不細工な林檎が嫌いじゃない。

指先に伝わる林檎の果汁。
それからねちょねちょした原因不明の感触。

粘り気のあるものを手に纏いながら水々しい林檎を掴んでいるみたいだ。

林檎に歯を立て噛むとシャリ、と音がした。
林檎の爽やかな甘い香りが鼻を抜ける。

ああ、いい香り。

そう思うのもつかの間。
すぐに鉄と腐臭の香りが林檎の爽やかな甘い香りの後を追う。

「やっぱり臭う。臭くて堪らない」

イライラする。

「美咲ちゃんからは石鹸の香りしかしないよ?」

「いいえ、鉄と腐臭みたいな悪臭が私からするの。しかも指先は何だか常に粘り気のあるものを掴んでるみたいな感触がするし」

噛じりかけの林檎を皿に戻し手の臭いを嗅ぐ。
なにが石鹸の香りよ。そんないい香りとは程遠い臭い臭いがするじゃない。

「シャワー浴びてくる」

そう彼に告げ立ち上がると『ついさっき浴びたじゃん』と、心配そうに眉を垂らして彼は言った。

彼の言う通り、私はつい一時間くらい前にシャワーを浴びたばかりだ。
けどまた浴びたい。
臭くて臭くて仕方ないんだ。
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