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わたしはショートケーキが嫌い
第7章 グレーテルは知らない



「待って美咲ちゃん」

彼が私の腕を掴んだ。
その手を私は勢い良く振り払い、怒鳴り声をあげていた。

「臭くて堪らないのよ!指先もねちょねちょして気持ち悪いし!」

イライラと気持ち悪さが混濁して彼に八つ当たりをした。
こんなに感情を他人に押し付けるのは初めてだから自分が自分じゃないみたい。

あの日からずっと染み付いているこの臭いと指先の感触が嫌で嫌で苦しい。

それに、おかしくなったのは私が見る夢もだ。

「あの日から臭くてねちょねちょした感触が指先からして、それに変な夢も見るようになった。夢までおかしくなった!!」

この臭いと指先の気持ち悪さが嫌で寝て逃げようとしても、夢は夢で私を苦しませる。

「どんな夢?」

彼に聞かれて私は答えた。

「ママの血だらけの背中を見てる私と、パパのアソコを持ってる私が夢に出てくるの。切断面がグチャグチャになったパパのアソコを持って私が笑ってる夢」

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