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わたしはショートケーキが嫌い
第7章 グレーテルは知らない
私の夢の内容を聞いて彼の眉がピクッとした。
痙攣したように、ピクッと。
「ごめんね美咲ちゃん、ごめんね」
そう言いながら彼は両手で顔を隠し、深い溜息をついた。
ひどく落ち込んでいる様なその姿に、私は何も言わなかった。
あの日彼がママを何度も包丁で刺して殺し、パパのペニスを切断して、断面がグチャグチャになったペニスをパパに咥えさせて殴り殺した。
彼が殺した。
『なんで!?なんでだ !? やめて!!』
あれ?
ママとパパが殺された日を思い出していた私は、目を覚ました時パパが何かを言っていたのを思い出した。
いや、思い出したと言うよりも曖昧な感じ。
こんな事言ってたような、言ってなかったような。
そんな曖昧な感じ。
夢の中の記憶なのか、現実の中の記憶なのか。
ボーダーラインがボヤケていて、分からない。
なんで‥‥なんでだ‥‥その後パパは誰かの名前を言ってたんだと思う。
思うに、彼の名前だろう。
けど、どうしてパパが彼の名前を知ってるの?
いや待って。もしかしたら私の夢の中で勝手に作られた台詞かもしれない。
けどもし現実の中の台詞だったら?
本当にパパが言っていたとしたら?
ああ、分からない。
頭が痛い。