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わたしはショートケーキが嫌い
第8章 他人事



ビックマックの箱を開けると、肉の臭いが鼻を掠めた。

俺の言葉を聞いた恭平は頷くと、溜息交じりに言った。

「ハサミで切るなんて正気じゃねえ」

ピクッと、俺の瞼が痙攣する。
そして確信した。

こいつめ‥‥‥。

ビックマックの肉の臭いが強く感じる。
焼かれた生き物の臭い。

何度も口にし、嗅いできたはずなのに生々しく臭いが残る。

俺はビックマックを噛じり、歯で肉を磨り潰した。
溢れる脂と肉の繊維が舌の上で崩れていく。

「恭平、聞きたいんだけどさ」

牛や豚や鶏が殺されたって人は騒がないし、その肉を美味しいと喜んで食べるのに、

「なんでハサミで切られた事知ってるの?」

人は人が殺されるとこんなに悲鳴をあげて騒ぐのだろう。
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