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わたしはショートケーキが嫌い
第9章 昔々、ある所に
「さっ!もうこのお話はおーわり!」
これ以上話せばボロが出そうだった。
だから僕は強制的に話を終わらせた。
けど美咲ちゃんはお構いなしだった。
「今誰の名前を言い掛けたの?」
何も知らない‥‥いや、覚えていない彼女は容赦ない。
「別にぃ」
背中に脂汗がじっとりと湿る。
「どうして名前を言い掛けた時に私を怖い目で見たの?」
「はぁ?」
覚えていない彼女は容赦ない。
僕は下手くそにとぼける事しかできない。
「美咲ちゃんを怖い目で見るわけないじゃ〜ん。君は僕の教祖様だよ?教祖様にそんな目を向けるわけない。美咲ちゃんは僕の命よりも大切な存在なんだから」
甘い毒を美咲ちゃんの耳に吹き込む。
けれども嫌に賢い彼女は騙されない。
吹き込まれた毒を吸収して解毒してしまう。
「‥‥あなたは私を嫌ってない?」
「嫌ってないよ」
愛してる。
嘘ではなく本当に愛してる。
美咲ちゃんの為なら死んだって構わない。
それは本当だ。嘘なんかじゃない。
けれども時々魔が差したようにように思う時がある。
「愛してるよ美咲ちゃん‥‥」
死んでしまえばいいのに、と。