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わたしはショートケーキが嫌い
第10章 盲目的な愛情は身を滅ぼしかねない



「まぁ、泣いても喚いても警察は俺を捕まえるよ」

慶太の言葉に心臓が鈍く鳴る。
耳を塞ぎたかった。

「凶器を捨てろ。そうすればバレない」

「バレないかもね。けど捨てる気も隠す気も俺はないよ」

「なんでだよ?」

「自首しようと思ってる」

まるで欲しい服を買うと決めた様にサラッと簡単にそう言ってストローを咥えた慶太。

グワンと目の前が歪む。

「‥‥死刑かもしれないぞ」

「俺未成年だし」

「裁判が長引けばお前はあっという間に成人する!そしたら死刑かもしれないぞ!?」

頼むよ慶太、

「それならそれで別に構わない」

頼むから、

「なんでだよ‥‥なんでだよ‥‥」

俺から離れていかないでくれ。


慶太はビックマックの最後の一口を口に放り込むと、馬鹿みたいに泣く俺の頭に手を乗せた。

「長谷部さんは俺と一緒に泣いてくれた。俺の理解者なんだ。辛さも分かってくれた」

「だからなんだよ」

「だから俺は彼女の為にしてやりたい」

「話を聞いて、一緒に泣いてくれた。だから長谷部の為に殺したのか?長谷部に頼まれて?たかがそれだけでお前は命賭けるのか?」

俺の頭の上に乗る慶太の手を振り払う。
すると慶太は穏やかに笑った。
見たこともない穏やかな顔だった。

「たかがそれだけの事をお前はしてくれなかったじゃないか」

顔には似合わぬ刺々しい言葉が俺を刺した。

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