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わたしはショートケーキが嫌い
第10章 盲目的な愛情は身を滅ぼしかねない
「なんの話だよ‥‥?」
「俺が母親から虐待されてるの知ってただろ?」
「‥‥‥‥」
「しかも性的虐待されてるの。けどお前は知らん顔してた」
「違う、慶太違うよ。知らん顔してた訳じゃ‥‥」
「お前一回俺家来たことあるよな?その時お前は見たはずだ。母さんが俺に跨って腰振ってんのを。俺のアレが母さんのアレに出入りしてんの」
「知らねぇよ!」
「お前は見た!あの時俺の目を見て静かにドアを閉めた!助けてって手を伸ばしたのに!」
脳内で再生される。
湿った空気と、汗と、よくわからない臭い。
忘れ物を届けてやろうと慶太のアパートに行った時、玄関の鍵が開いていた。
勝手に入るのは無作法と思いインターホンを押したが反応がなかった。
けど、玄関のドア越しに呻き声みたいなものが聞こえて俺は無作法にも勝手に上がり込んだ。
一応『おじゃまします』と言葉を添えて。
声はドアが開きっぱなしのリビングの隣のドアからした。
木目模様が綺麗なドアの向こうから確かに声がした。
なんとなく予想は出来ていた。
多分セックスしてると。
慶太が女でも連れ込んでハメてるのか?
あの慶太が?
それとも慶太の母親が浮気相手を呼び込んでハッスルか?
悪趣味な好奇心が俺の手をドアノブへと導く。
慶太がセックスしてる姿が気になったのか、慶太の母親が浮気セックスしてる姿が気になったのか、はたまたセックスしてる姿がただ単に見たかったのか。
自分自身あの時どうしてドアノブを回してしまったのか分からない。
確かなのは好奇心がそうさせた事だけだ。