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わたしはショートケーキが嫌い
第10章 盲目的な愛情は身を滅ぼしかねない
ガチガチに固まっていた体の一部がやっとの思いで動いた。
ぎこちなく右腕が上がりじっとり湿った手の平がドアノブを掴んだ。
そしてそのまま俺はーーードアを閉めた。
「覚えてるだろ?恭平」
「‥‥」
言い訳も上手く出来ない。
あの日俺は泣いて助けを求める慶太を見捨てた。
けど、長谷部だって同じじゃねぇか。
ただ話を聞いて一緒に悲しんだだけじゃねぇか。
なんら俺と変わらない。
結局あの女だって俺と同じく慶太に手は差し伸べてねぇじゃねぇか。
「話を聞いてくれたから殺してやったの?もしかして長谷部も親にレイプされてたのか?ハハ、お笑いだな。なんだよ、レイプされてる同士傷の舐め合いしてたって訳か?挙句人を二人も殺したって訳だ。大した舐め合いだなおい」
「傷の舐め合いなんかじゃない」
「じゃあ何だよ?結局あの女だって話を聞いて頷いて泣いただけだろ!?肝心なとこはそっぽ向いて『お互い辛いけど頑張ろ!』みたいに励ましただけだろ?あ?俺のした事と大して変わんねーだろ!」
苛々と言い表せない感情が言葉になって俺の口から生まれる。
不安、悲しみ、妬み、悔しさ、怒り。
負の感情ががんじがらめになって俺の口から生まれる。
平気で慶太に“親にレイプされてる”と禁句を口走るほど鋭く尖っていて暴走する。
俺を必要としていない。そう感じ取れたから尚更口が悪くなる。
「慶太も馬鹿だよなぁ。あの女に利用されてるだけなのに」
多分、プツんと自分の中で何かが切れてしまったんだと思う。
長谷部 美咲より劣って見られていることがどうしようもなく腹ただしくて悲しくて。
慶太は馬鹿にしたように笑う俺に穏やかな顔のまま言った。
ぎこちなく右腕が上がりじっとり湿った手の平がドアノブを掴んだ。
そしてそのまま俺はーーードアを閉めた。
「覚えてるだろ?恭平」
「‥‥」
言い訳も上手く出来ない。
あの日俺は泣いて助けを求める慶太を見捨てた。
けど、長谷部だって同じじゃねぇか。
ただ話を聞いて一緒に悲しんだだけじゃねぇか。
なんら俺と変わらない。
結局あの女だって俺と同じく慶太に手は差し伸べてねぇじゃねぇか。
「話を聞いてくれたから殺してやったの?もしかして長谷部も親にレイプされてたのか?ハハ、お笑いだな。なんだよ、レイプされてる同士傷の舐め合いしてたって訳か?挙句人を二人も殺したって訳だ。大した舐め合いだなおい」
「傷の舐め合いなんかじゃない」
「じゃあ何だよ?結局あの女だって話を聞いて頷いて泣いただけだろ!?肝心なとこはそっぽ向いて『お互い辛いけど頑張ろ!』みたいに励ましただけだろ?あ?俺のした事と大して変わんねーだろ!」
苛々と言い表せない感情が言葉になって俺の口から生まれる。
不安、悲しみ、妬み、悔しさ、怒り。
負の感情ががんじがらめになって俺の口から生まれる。
平気で慶太に“親にレイプされてる”と禁句を口走るほど鋭く尖っていて暴走する。
俺を必要としていない。そう感じ取れたから尚更口が悪くなる。
「慶太も馬鹿だよなぁ。あの女に利用されてるだけなのに」
多分、プツんと自分の中で何かが切れてしまったんだと思う。
長谷部 美咲より劣って見られていることがどうしようもなく腹ただしくて悲しくて。
慶太は馬鹿にしたように笑う俺に穏やかな顔のまま言った。