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わたしはショートケーキが嫌い
第10章 盲目的な愛情は身を滅ぼしかねない



「‥‥‥書き換えればいい」

囁くように、空気を吐き出しながら慶太はそう言った。

イカれた奴の言うことと考えることはよく分からない。
分かりたいのに分からない。
慶太の頭の中がわからない。

だから少なくとも俺よりは慶太の気持ちをわかっている長谷部が腹ただしい。

慶太の心を鷲掴みにしている長谷部が腹ただしい。
けれども羨ましい。

踏み込んではいけない。
自分の中にあるセキュリティーシステムがうるさく鳴る。
きっと慶太は俺が手を伸ばしても届かない場所にいる。

遠くに行く。離れていく。

「どうやればお前を救える?」

それでもなお、しがみつこうと藻掻く俺の口から出た言葉は意味のない言葉だった。


慶太は俺の唇に人差し指を押し当てると真顔で答えた。


「お前の助けはいらない」


プツンと、何かが切れた。
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