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わたしはショートケーキが嫌い
第11章 男の秘密を覗くもんじゃない



小さなことでもいい。
何か些細なことでも知りたい。

『僕が殺したから』

自分の母親を殺したとあっさり言う彼の事が知りたい。

残酷で、なのに私だけには優しい彼が何者なのか知りたい。

名前だけでもいい。
誕生日だけでもいい。
出身地だけでもいい。
血液型、身長、何でもいい。

私は私のダークヒーローを知りたい。

「お風呂に入ってくるね」

まるで私の考えを読んでいるかのようなバッチリなタイミングで彼がそう私に言いお風呂場に消えた。

スマホと財布はテーブルの上に置き去りにされ無防備なまま私の目に映る。

私は素早くベッドから降りて、テーブルの上に置かれた無防備な2つの秘密箱に手を伸ばした。

まずは見やすい財布から開いた。

財布の中にはレンタルビデオ店のポイントカードやら何かの割引券と古びたレシートが詰まっていて、お札はあまり入っていなかった。
言ったら失礼だが、貧乏くさい中身だ。

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