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わたしはショートケーキが嫌い
第11章 男の秘密を覗くもんじゃない
心臓が煩く跳ねだす。
手汗がすごい。
興奮だ。私は興奮しているんだ。
やっと見つけた彼を知れるかもしれないアイテム。
私は部屋中を探検することにした。
部屋中のドアノブに手を伸ばし回した。
ガチャ、ガチャと金具の音を出しながら簡単に開く扉達。
開いた扉の中は見事な空っぽで埃臭い。
金庫もない。ましてやこの鍵を差し込む鍵穴もない。
‥‥‥もしかして家の鍵?
見つからない鍵穴や金庫や扉に、私は肩を落としアイテムだと思っているこの鍵がただの家鍵なんじゃないか?と思えてきた。
残念‥‥。
興奮が冷めていく。
血圧が下がっていくように。
壁に背中をつけて座る。
カチャンと金具の音がどこからかした。
結局彼を知れない。
この鍵が家鍵なのか、秘密を解くアイテムなのかという余分な謎を増やしただけで終わった。
溜息が出た。
コツンと後頭部を壁に付けると、また小さくカチャンと金具の音が聞こえた。
さっきからカチャカチャ何なのかしら?
振り向いてみてもあるのは冷たい壁だけ。
何もない。壁だけがある。