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帝警備淫夢譚
第7章 矢上マユ、罠だらけの工場調査
「お、こんな夜中によく働くね」

「まったくだ」

部屋の一辺には三つの檻があり、その中に人間が一人ずつ入れられている。いずれも男だ。
しかし、まだ状況は飲み込めない。

「お?よく見たら女じゃん?」

「おい、顔見せろよ!」

何なのよ、こいつら。檻に入れられてるクセに、何でこんな楽しそうなの?
私は身構え、壁際に移動する。
やはり、部屋には檻が三つ、囚人が三人。それ以外に人はいない。

そうか。
ようやく整理出来てきた。ここは私が探索しようとしていた部屋の一つだ。
最初に入った部屋は上の階。床が吹き抜けになっていたのね。ということは、調べるべき部屋は元々二つだけだったってことか…。

「…あなた達は誰?」

声を低く、出来る限り冷静に、私は尋ねる。

「同業者だよ、あんたと同じだ」

「…捕まったということ?助けはこないの?」

「助けてほしいさ!だがな、無理だから諦めてんだ」

「そんなことより、あんた、けっこうイイ女だろ?」

相変わらず部屋は薄暗い。

「…無理ってどういうこと?」

イイ女か?なんてこの際どうでも良い。
状況は芳しくない。
けれど、この状況を持ち返るだけで工場は黒だ。

問題は…。
この状況だけを持ち返り、工場は黒という報告をするのか?
それとも、もう一部屋に踏み込んで工場の真実を報告するのか?

トン。

私が落ちた場所の近くに人影。
上の部屋から飛び降りてきた。
檻に入っていない。明らかに敵だ。

状況を分析すればするほど確信することがある。

この部屋は、罠だ。
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