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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第2章 声なき悲鳴
狙撃ではない…
他の方法で割られたとすれば、事態は深刻を極める。
“ だが、これはまるで…… ”
「……」
スミヤは窓に寄った。
腑に落ちない表情で、彼は外を眺める。
ピピ
『こちら〇〇。報告を頼む』
「……こちら東城。割れたガラスを確認…だが、狙撃の跡はなし」
『狙撃ではない!? ──…っ…なら、すでに何者かが侵入したという事か?』
「……、いや…──」
スミヤは報告をしながら窓から顔を出し、そのすぐ真下を覗きこんだ。
しばし、無言でそこを観察する──。
それから庭にいる仲間と目を合わせた後、彼は顔を引っ込めた。
「──…侵入とも少し違う。これは、内側から割られている」
『……!?』
「念のため3階を見回りするよ……では」
──プツ ン
これは何を示している?
一度、飛び散ったガラスに振り向いた後
スミヤは眉をひそめ…その場所を離れた。