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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第2章 声なき悲鳴
声はブレット氏だ、それは間違いないだろう。
では誰と話している?
“ 電話の可能性も低そうだし ”
スミヤは今の時刻を確認しながら、声の発生源へと向かって行った──。
「…ッ…どう…て…、私の…──…が、…──ッ」
数分後、スミヤは声のする部屋を特定した。
そこはブレット氏の寝室ではない。
図面のデータで確認すると……出入り口のない不可思議な部屋だった。
密室?──違う
この部屋は、ブレット氏の寝室と隠し通路で繋がっている部屋だ。
“ ここからだと、会話の内容までは聞き取れないかな……よし ”
¨何か¨ ある
それを直感したスミヤは、盗聴用の器機をふところから取り出して、壁に押し付けた。
それは壁に伝わる振動を解析し、向こう側の会話を明瞭にするための道具だ。
準備が完了し、イヤホンを耳に付ける。
そうしたスミヤには、部屋の内部の様子が手に取るように伝わってきた──。