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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第3章 話してごらん
臆病な猫の手なずけに成功したスミヤ。
こうして警戒心を剥いでしまえば、その下にあるのは純心な乙女の本能だ。
「──…綺麗だね…リリア」
「……ッ//」
ほら、顔が真っ赤
彼は心の内でほくそ笑む。しかし
《 な、な…!! 変なことッ…言わないで下さい…// 》
刺激が強すぎたのか、せっかく近くまで来ていた彼女は、一瞬で壁際まで後ずさってしまった。
“ …っ、わかりやすい子だなぁ ”
ここまで甘い言葉に免疫がないとは知らなかった。
これにはスミヤも苦笑いするしかない。
ふむ…と考えを巡らし
少しだけ趣向を変えてみることに。
「何も変なことは言っていないさ、リリア。君はとても綺麗だよ──…その、…声が」
《 …ぇ…声?わたしの…声ですか? 》
「そうだよ」
リリアの反応を確かめてから
スミヤはピアノ椅子に腰を下ろした。