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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第4章 身代わり
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ホー… ホー……
この暗闇に、そして静寂にさえ寄り添おうとする、頼りない鳥の鳴き声。
フクロウ……いや、これはキジバトか。
この鳴き声を聞くと、自分が都会からはるか遠くに来たことを思い知らされる。
屋敷の外で耳をすませるスミヤはそんなことを考えながら、目前の情景を眺めていた。
屋敷の東側には道路をはさんで立派な大樹が何本もそびえる。
元はそこも他の住人が所有する土地だったのだろう。しかし住人はこの地を離れ…置きざられたそこをウィンチェスター家が買い取ったのだ。
そうすることで空き地は荒れることなく管理される。
人口減が深刻な田舎ではよくあることだ。