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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第1章 幽霊屋敷にお姫様
しっとりとウェーブがかった黒色の髪。
澄んだ蒼色の目の下にある、大きめなホクロが印象的な青年だ。
「ヒデアキ氏とは共通の友人を持つ知り合いでね。今回の件で彼に相談したら、自慢の息子を手配すると言ってきたものだ!」
「そうでしたか」
「遠路はるばる…君達には感謝するよ」
「お気遣いなく」
“ 何のつもりだよ父さん… ”
笑顔のブレット氏の話を聞きつつ微笑むスミヤは
内心、父への抗議でそれどころではない。
けれどそんなことには気付かないブレットに促され、芝生の庭へ足を踏み入れた。
「立派なお屋敷だ」
歴史を感じる大きな屋敷を見上げて彼が呟くと、屋敷の主は「先祖代々、受け継いでいる家だ」と伝えてきた。
それが理由で…最新のセキュリティシステムを設置することもできないのか。
スミヤはそれを納得した。