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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第1章 幽霊屋敷にお姫様

屋敷を入ってすぐの廊下で彼等を待っていたのは

「貴女は……」

ショーパンにブラウス姿の金髪ガールだった。


「娘のマリアだ」

ブレット氏が紹介する。


「…初めましてマリアさん」

「どうも」


古風な屋敷に住んでいるから、どんな令嬢が出てくるのかと思えば…

中に住む人間は、しっかりと ¨今どき¨ らしい。

意外に思ったことを悟られないようにスミヤが笑顔で挨拶するも、マリアの態度は素っ気ない。


「──…で?父様。この人達がわたしを守ってくれるの?」

「…そうだが…まったく…。もう少し礼儀正しくできないのか」

「ちゃんと挨拶しに来たじゃない」



“ やれやれ… ”

親子のやり取りを見守るスミヤ。


この娘が今回の警護対象者。

マリア・ウィンチェスター。20歳。


この家…事前調査によると、家族はこの二人だけらしい。

マリアの母親はすでに亡き人だ。

父親に甘やかされて育った娘か…まったく


「……フっ」


躾がいが、ありそうだね。





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