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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第5章 任務終了

「監視カメラには何か映っていないのか!? 」

「確認済みです」

スミヤが端末を操作してパネルを見せると、そこに無数のカメラの映像が出てくる。


「もっとも、3階には必要最低限のカメラしか設置してありません。ブレット氏がそう言われたので」

「……っ」

「これほど複雑な屋敷なので、網羅するのも不可能ですし…」


スミヤは過去の映像もさかのぼりながら

幼い子供にするように、ひと言ひと言をゆっくりと説明する。



「ご覧のように、この6日間、3階への侵入者は見当たりません。……僕らも、含めて」


「……!」



ハッとしたブレットは、目の前で余裕綽々と微笑む青年を恐れ、後ずさった。


全てを知って、嘲笑っている──

それを直感して震えるほどの動揺をくらった。



「……君か……君なんだな」

「……」

「君はリリアと3階で会っていたそうじゃないか!私が立ち入るなと言ったにもかかわらず…っ」

「ですが3階廊下のカメラには何も映っていない」

「……っ」

「僕はそんなことしていませんよ」


嘘をつき慣れているスミヤの口は

いともあっさりと、相手の非難を受け流した。


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