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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第6章 報酬は、刹那的な温もりで
「本当に愛おしくて…馬鹿な子だ」
どうして僕に感謝できるのか…。
そんなふうに信用してしまうのか。
僕は初めから、君を利用することしか考えていなかったのに。
僕はね、…君を屋敷に閉じ込めたあの男と何ひとつ変わらないんだよ。
決して叶わない想いを抱えて
その苦しみに耐えるために、君から身代わりの愛を搾取したにすぎないのにさ──。
助けた見返りに、ひと夜の愛を要求する。
そんな男が王子様なわけないだろう?
.....
チュッ
「…ごちそうさま」
君はとても美味しかったよ。
さぁ、おねむり。
明日の朝、無事に目を覚ましたならば…
君はやっと自由だ───リリア。