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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
「お主、今までに見た事のない出で立ちをしておるの。器量はもちろんじゃが、醸し出す美的感覚が儂好みじゃ。名はなんと申す?」
彼女は政宗の頬に手を伸ばし、色目を使う。政宗も悪い気はしていないのか、妖怪相手だというのに堂々と名乗りを上げた。
「俺は奥州を統べる大名、伊達政宗だ」
「政宗……ふふ、名前もまた色男じゃ。このような男を現世に生み出すとは、仏もたまには良い仕事をする」
彼女は政宗が気に入ったのか、首に腕を絡めると自ら唇を重ねる。舌を交え雌の気を差し出せば、政宗はそれに応え唇と共に彼女の尻に手を伸ばした。
退治せよ、という願いのはずなのに、男女の深い交わりを見せつけられた幸村は戸惑う。この隙にと切りかかるべきなのか、政宗が策を仕掛けていると思い、見守るべきなのか。小十郎は若干呆れた目で、もう一人残された武士は、ただ無表情で情事を見つめていた。
「んっ、ふ……はぁっ、やはり人の気は良いな、粗末な妖魔とは大違いじゃ」
彼女は長い口吸いを終えると、舌で唇を拭う。
「じゃが……儂が求める精気は、これではない」