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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
「これで、終わりだっ!」
彼女の体を縛るように靄が纏わりつき、政宗の刀が振り下ろされる。勝負は決まった、そう皆が思った瞬間だった。
「愚か者が」
彼女の金色の目が光り、政宗を貫く。すると政宗の体が固まり、足元から石に変化していった。
「政宗様!!」
小十郎が笛を止め、政宗を彼女から引き離す。だが、政宗はみるみるうちに石化していく。
「武士の世界では礼儀かもしれぬが、妖魔の前で、素直に真名を名乗るから悪いのじゃ。蔵に飾って、永遠に愛でてやろう」
「くっ……止まれっ!」
小十郎は札を袖から出すと、固まる政宗の胸に押し当てる。そこからは生の光が溢れ出し、政宗を呪いから救おうと包むが、簡単に元には戻らなかった。
「ほう、儂の石化をなんとか食い止めたか。お主の退魔の力は、本物じゃな。じゃが、解呪までは出来るかの?」
小十郎が手を離せば、政宗は完全に石化してしまう。主君を見捨て彼女を倒すか、主君もろとも散るか。彼女は考える時間も与えず、小十郎に迫る。
が、その時、もう一人の男が動いた。名のしれぬ武士が口笛を吹き、飛び上がったのだ。