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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
「魔を制するは、魔――行くぞ、自来也!」
空から降ってきたのは、六尺はある大蛙。彼がその背中に乗ると、蛙は彼女を捕らえようと舌を伸ばす。
「これは、一体……何者なんだ、あの方は」
新たに現れた大蛙の妖怪は、背中に乗る彼が操っている。幸村があっけに取られたその時、女がおののき叫ぶ声が響いた。
「!」
だが、狐耳の彼女は一言も言葉を発していない。幸村が辺りを見回しても、他に女の姿はなかった。
(今の声は……?)
小十郎は政宗の治癒でそれどころではないのか、全く気にも留めていない。が、大蛙の上に乗る彼も、叫び声には気づいていないようだった。
「退魔師の次は妖魔使いか。まったく、この時代の人間も、なかなか好き放題やってくれるの。じゃが、所詮は下級の妖魔……儂には敵わん!」
彼女が手を振ると、鬼火が大蛙を襲い爆発を起こす。蛙は不気味な声を上げて倒れるが、同時に彼女も叫び声を上げた。
「あくぁっ!」
彼女の足に噛みついていたのは、人を飲み込めるほどの大蛇。蛙に乗る男は髪をかきあげると、大蛇に呼びかけた。
「よくやったな、大蛇丸。自来也も、囮ご苦労だった」