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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
大蛇には毒があるのか、噛まれた彼女の足は青く変色する。体に力が入らないのか、彼女はそのまま蛇に引きずられ地に伏しても、起き上がる事が出来なかった。
「このっ……離せ!」
脂汗を流し、彼女は力なく尻尾で抵抗するが、大蛇は足を離さない。それどころか彼女を丸ごと飲み込もうと、長い体を蠢かせた。
「やめっ……あああっ!」
大蛇の舌が彼女の体に巻き付き、さらなる拘束を加える。そして足から、ずるりと彼女を体内へと飲み込んでいく。
大蛇が彼女を深く飲むたび、その体は彼女の形に膨らんでいく。今度こそ、勝負は決まった。そう幸村が思ったその時、また声が響いた。
『助けて……』
恐怖で震える声は、もがく狐耳の彼女とは全くの別物である。だがその声は、確かに彼女の方から聞こえてきた。
『こんなところでは、駄目……まだ、死にたくない……!』
「――待て!!」
幸村は大蛇の元へ駆け出し、もはや頭まで飲まれ、わずかに腕だけが伸びる彼女を掴む。大蛇を蹴り上げ引きずり出そうとするが、その腕は大蛙の舌に捕らわれ止められてしまった。