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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
大蛇に威嚇されながらも、幸村は彼女を助けようと手を伸ばす。だが男は疑いの目を向け、大蛙を幸村に向けた。
「それが、本当である根拠は? 手柄を横取りしたくて、適当に話しているんじゃないのか?」
「だから、違うと言っている!!」
幸村は疑いを一蹴すると、大蛇の腹に向かい、叫ぶ。
「娘、そこにいるんだろう!? 生きているなら、応えてくれ!! 某が、救ってみせる!」
すると静止した大蛇の腹が、再び動き始める。幸村には、中にいる彼女の声が、はっきりと聞こえていた。
『見つけた……貴方が、私の探していた人みたい』
飲み込んだはずの彼女が、上り始める。大蛇は苦しみだし、身をよじり彼女を飲み込もうとするが、込み上げる吐き気は止まらなかった。
「大蛇丸!!」
男が妖魔の名を叫んだその時、消化液と共に、口から女が吐き出される。だが出てきた女は、狐の耳も尻尾もない、全くの別人だった。
「うえ……なんかぬるぬるして、気持ち悪い」
狐の女よりだいぶ大柄の彼女は、目を引く赤毛をしている。纏わりつく消化液に顔を歪めるが、その顔も可憐であった。