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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
彼女が吐き出された瞬間、政宗を襲う石化も解けて元に戻る。赤毛の彼女は茫然とする幸村を見上げると、歪めた顔を笑みに変えた。
「こんばんは、貴方の名前は? 私は大谷吉継の娘、和紗。よろしくね」
体格もあり、彼女は顔立ちがやや幼げなわりに大人っぽく見える。悪戯めいた笑みは妖魔とも違う、魔性の香りがした。
「そ、某は……真田、幸村です」
先程の妖怪は、政宗の名前を聞いて呪いをかけていた。和紗と名乗る彼女が何かをするとは思えないが、誰がどこで名を聞いているかも分からない。念の為偽名を名乗るが、彼女が引っかかったのは名字の方だった。
「真田? 真田って、三成おじさまの親戚の?」
「ああ、石田三成殿の奥方は、我が母上と姉妹ですね。某は直接三成殿とお会いした事がありませんが、兄はよくやり取りをしているようです」
彼女が大谷刑部の娘であるならば、大谷刑部の親友である石田三成を知っているのも不思議ではない。そしてその石田三成は、幸村とも縁のある人物であった。
「ふぅん、兄がいるの?」
「ええ、腹違いの兄弟も含めて、兄弟は何人もおります」