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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
 







 奥の一室まで案内すると、和紗は「体を洗いたい」と言い残して先に立ち去ってしまう。残された四人がひとまず待っていると、すぐに部屋の襖が開いた。

「本日は、誠に感謝申し上げる。試すような真似をして、済まなかった」

 秀吉公の子飼いである吉継は、優男のような見た目とは裏腹に、百万の兵を指揮させたいと言われる程の名将である。そう、幸村は聞いていた。だが対面しその顔を見た幸村は、言葉を失う。

「そ、そんな……」

 吉継の顔の右半分は、死人のような土気色と化し、腐りかけている。すると政宗は膝を立て、吉継に詰め寄った。

「大谷殿、その顔は一体!?」

「顔だけじゃない、体も右半身全て、こうだ」

 吉継は着物をたくし上げ、右腕を晒す。言葉通り、腕も腐り落ちそうな肉へと変化していた。

 才蔵は眉をひそめると、ぽつりと呟く。

「妖魔の呪いか」

「ご明察。つい先日、屋敷が妖魔に襲撃されてね、こんな事になってしまった。娘のあれも、その影響だ」

「しかし、不思議な話だな。京の妖魔は、自らの命が脅かされでもしない限り、人に害は加えないはずなのだが」
 
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