この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
奥の一室まで案内すると、和紗は「体を洗いたい」と言い残して先に立ち去ってしまう。残された四人がひとまず待っていると、すぐに部屋の襖が開いた。
「本日は、誠に感謝申し上げる。試すような真似をして、済まなかった」
秀吉公の子飼いである吉継は、優男のような見た目とは裏腹に、百万の兵を指揮させたいと言われる程の名将である。そう、幸村は聞いていた。だが対面しその顔を見た幸村は、言葉を失う。
「そ、そんな……」
吉継の顔の右半分は、死人のような土気色と化し、腐りかけている。すると政宗は膝を立て、吉継に詰め寄った。
「大谷殿、その顔は一体!?」
「顔だけじゃない、体も右半身全て、こうだ」
吉継は着物をたくし上げ、右腕を晒す。言葉通り、腕も腐り落ちそうな肉へと変化していた。
才蔵は眉をひそめると、ぽつりと呟く。
「妖魔の呪いか」
「ご明察。つい先日、屋敷が妖魔に襲撃されてね、こんな事になってしまった。娘のあれも、その影響だ」
「しかし、不思議な話だな。京の妖魔は、自らの命が脅かされでもしない限り、人に害は加えないはずなのだが」