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妖魔滅伝・真田幸村!
第2章 本能寺の真実
「刑部殿は、どちら側なのですか?」
妖魔に襲われた姿を見れば察しはつくが、幸村は念の為確認する。吉継は軽く頷くと、小さな溜め息の後に口を開いた。
「私はどちらの派閥にも顔が利く。なんとか賛成派を抑えようと動いていたら、それがよほど邪魔だったのか目を付けられてしまった。結果がこれだ。屋敷を襲撃され、呪いを受け、娘も人ではなくなってしまった」
「しかし、娘に憑いていたのは、日ノ本の妖魔だったはずでは? 話を聞く限り、この争いは南蛮の妖魔と人のものであると思いましたが」
『それについては、儂が説明しよう』
すると部屋に女の声が響き、吉継の隣に狐耳の女――吉継の娘に取り憑いていた妖怪が現れる。しかし肉体を持っていた先程とは違い、体は透けていて霊体の状態であった。
「お前は!」
『吠えるな、儂はお前らの敵ではない。先程戦ったのは、事情があっての事じゃ』
警戒する皆の顔を見渡すと、女は幸村に顔を近付ける。彼女は幸村の頬に手を伸ばすが、霊体では触れる事も敵わなかった。
『儂は妖怪一の美女狐、玉藻前じゃ。お主は幸村、だったかの? 政宗には敵わぬが、まあお主もそこそこ男前じゃな』