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妖魔滅伝・真田幸村!
第2章 本能寺の真実
「は、はあ……」
『日ノ本の妖魔はその昔、安倍晴明という恐ろしい人間に滅ぼされかけた事があっての、それ以来人間とは不可侵を貫いておる。時にそれを知らぬ若い妖魔が図に乗って悪さをする事もあるが、組織だって人を襲いはしない』
玉藻前は一度幸村から離れると、吉継の隣に戻る。体のない、魂だけの存在だが、幸村は彼女から強い色香を感じていた。
『昼は人、夜は魔、住み分けている現在に、不満はない。南蛮の妖魔共が掲げる世界の統一など、以ての外じゃ。じゃがな、奴ら最近は特に我が物顔をして、人にちょっかいを掛けるのよ』
「秀吉様のお墨付きをもらったからね、そりゃ暴れるよ」
吉継が呟けば、玉藻前は尻尾を逆立てる。
『まこと、不愉快じゃ! ここだけの話じゃがな、晴明の奴は死ぬ間際、「人の世を荒らせば、我は再び現世に蘇り魔を滅する」と言い残したのじゃ。あやつなら、本気で蘇りかねん。そして日ノ本の妖魔も一緒くたにして、ことごとく滅ぼしにかかるだろう』
安倍晴明という人物は、今の世に生きる人間にとっては伝説上の人物としか思えない。しかし玉藻前はよほど怖いのか、頭を抱えわめき散らした。