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妖魔滅伝・真田幸村!
第2章 本能寺の真実
『余所から来た奴らが、我が物顔で日ノ本を闊歩するのは気に食わん。それが晴明をつつくのだから、もっと気に食わん! 由緒正しき日ノ本の妖魔は、皆迷惑しておるのじゃ』
霊体でも疲れるのか、玉藻前はひとしきり喚くと肩を落とし息を整える。その姿は人と対して変わらない、隣人のような存在に見えた。
『この屋敷に儂が現れたのは、調子に乗る妖魔共をひっぱたいてやるためだったのじゃ。そしたら何ぞ、娘が南蛮の妖魔に犯され、妖魔として作り替えられている最中じゃった』
「娘が、妖魔に!?」
『そういう種の妖魔なんじゃろ。儂が目にした時には既に妖魔を孕む体にされて、あと一滴でも精を受ければ完全なる妖魔と変わるところじゃった』
玉藻前はさらりと話すが、それは悲惨な出来事である。突如襲われ、事態も掴めず犯されて、人の命を失う。吉継の娘は割と飄々としていたが、幸村はその時の痛みを思い胸を痛めた。
『じゃが、それは儂にとっても好都合じゃった。ひっぱたくとは言ったが、儂は肉体を持たぬ。その昔粉々にされてからは、この調子なのじゃ。霊体で出来る事など、たかが知れているからの。体が、どうしても必要じゃったのじゃ』