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妖魔滅伝・真田幸村!
第1章 吉継の娘
短く切りそろえていた爪が、刃のように鋭く伸びる。つい数時間前までは乙女の清廉さに包まれていた肌から、男を誘惑する淫気が放たれる。元々豊満であった乳房はさらに張りと柔らかさを得て、未だに異形が中に入ったままの胎は締まりが増した。
女の赤毛が、異形と同じ金の髪へと変わる。ここまでは、異形の望む通りの変化であった。だが髪と共に生えてきた獣の耳に、異形は目を疑った。
金色の毛をした耳は、天に向かい長くぴんと伸びる。さらには女の尻から、ふわふわとした尻尾まで生え始める。しかもそれは一本ではない。耳や髪と同じ金色の尻尾は、ぱっと見ただけでは何本か分からないくらいたくさん生えていた。
『これは、狐……!?』
さらには、瞳である。女の元の色である黒ではなく、異形が望んだ赤でもなく、金色の眼がつり上がっていた。
「儂の日ノ本で、よくも好き勝手やってくれたのぅ、妖魔よ」
女が舌なめずりすれば、乙女の唇は真っ赤な紅色に染まる。異形が犯した女は、確かに人ではなくなった。しかし、異形の望む「サキュバス」ではない。慌てて異形は身を引こうとするが、女は絡めた足に力を入れて異形を押さえ込んだ。