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資料室の恋人
第8章 噂の先生

「なにー?いいでしょ別に」
「いいけど…」
「ねぇ日和。航平先輩と何かあった?」

拾い上げたスプーンをまた落とす日和。

「なっ、なんで…?」
「だって、サークルで会うたびに日和の話してた先輩が、最近全然話さないんだもん…なんかあったんでしょ?」
「なにも無いって」

明るく笑顔で答える日和。そういえば、告白されたあの日から直接会っていない。メールでのやりとりはあったが、実際にご飯に誘われる事はなかった。
"好きな人がいるから"と断ったことを思い出す。その好きな人とは関係が進展し、一応付き合っている。
今日は月曜日だ。その好きな人に会える金曜日までは、まだ3日もある。

「あっ…!見て!噂の先生…!」

明里の言葉にふと顔を上げると、数人の女子学生を取り巻きながら学食の通路を歩く佐倉がいた。

「……っ!」

学内で会うのは初めてだ。今まで資料室以外ではすれ違ったことすら無いのに。


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