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資料室の恋人
第8章 噂の先生


「噂の先生?」

直也が明里に聞く。

「知らないの?援交してるって噂らしいよ」
「まじ?」
「中学生くらいの女の子と一緒にいるの見た人がいるんだって…手も繋いでて恋人同士みたいだったって」
「えーまじかー…」

あれ…それって…

「日和…?日和聞いてる??」
「えっ?あ、うん、聞いてるよ…」
「まあ、あくまでも噂だけどね。でもさぁ…あの先生モテるから、言い寄ってくる女はたくさんいるだろうねぇ」
「いつも取り巻き連れてるしな」
「えっ、いつも?」
「だいたいあんな感じだよ、いつも。日和見たことねぇの?」
「…うん、無い」

初めて見た。そっか、そりゃ人気あるよね。
かっこいいし、優しいし…

ふと、通路を歩く佐倉と目が合った気がした。
日和たちの座る席に近づいてくる。

わわわどうしよう
いつもより緊張しちゃう…

佐倉が通り過ぎる瞬間、にこりと笑ったように見えた。それだけでどきりとしてしまう。ふわりと佐倉の匂いがする。それをかき消すように、佐倉を囲むように歩いて行く女子学生達の香水が漂った。



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