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資料室の恋人
第8章 噂の先生
***
「えーと…」
講義を終えて帰宅した日和はパソコンに向かってレポートを書いていた。長期の休みが近くなるとテストの代わりにレポートや課題が出される講義もある。テストよりもレポートの方が気が楽だが、あれもこれもと少し忙しい。
文献を読みながらキーボードを叩いていると、手元の携帯電話の画面が光って新着のメールを知らせた。
明里からのメールだった。
花火大会だけど、航平先輩も来れるって♡
18時に集合でよろしく!(=゚ω゚)ノ
日和は簡単な返事を送信すると、はぁと息を吐いた。
航平先輩にどんな顔して会えばいいんだろう。
思えば、直接会うのは告白された日以来だ。メールでのやり取りはあるが直接は会っていない。先輩はまだ自分のことが好きなんだろうか。だとしたら、変に期待をさせないように彼氏ができたと伝えた方が良いのだろうか。
そんな考えがぐるぐると日和の頭を巡る。
なんだか自分が自意識過剰のように思えてしまう。ふぅとまた息を吐いて携帯電話を何気なくいじっていると、突然ブルブルと振動する。今度は佐倉からの着信だった。
「わっ…!」
驚いた拍子に手が滑り、携帯電話を落としてしまう。
電話はもう何度もしているのに毎回緊張してしまうのは何でだろう。そう思いながら、ひと呼吸して電話に出る日和。