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資料室の恋人
第8章 噂の先生
「…はい、三木です」
『やっと出た。今電話大丈夫?』
「は、はい、大丈夫です」
『噂…聞いた?』
一瞬、何のことだろうと思ったが、すぐに昼間の学食でのことが思い出された。
「…あの、先生が援助交際してるっていう…?」
『やっぱり聞いたんだ。気分悪くしたよね?ごめん』
「あっいえ、全然大丈夫です。まさかあんな噂が立っちゃうなんて思わないですし」
『本当にね』
あれ、先生なんか元気ないかも…
「先生こそ大丈夫でしたか?何か言われたりとか、してませんか…?」
『うん、大丈夫。それより三木さんに謝りたくて』
「そんな、謝らないでください。…あ、でもさすがに中学生はちょっと傷付きました。確かに身長は中学生並ですけど」
日和がくすくすと笑いながら言った。
今までの人生で"女の子は小さい方が可愛いよ"と、何度言われてきただろう。そんなお世辞より、身長を伸ばす方法を教えて欲しかった。
『俺は小さくて可愛い日和が好きだよ』
どきりと心臓が跳ねる。同じ言葉でも好きな人に言われると、なぜこうも違うんだろう。心は簡単にころりと変わる。日和は少し悔しく思いながら、はいはいと適当な返事をした。電話で良かった。きっと顔が赤くなっているはずだから。