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資料室の恋人
第8章 噂の先生
『あぁでも…小さいし細いから、セックスの時に壊れちゃわないか心配だけど』
「せっ…!て、なななに言ってるんですかっ…っ!」
その反応に佐倉が吹き出した。
笑い声を聞きながら、元気がないかもと心配して損した思う日和。
『そうだ…それと資料室のことなんだけど、今週はちょっと忙しくて開けられないかも』
「あ、休み前は忙しいですもんね…私は大丈夫なんで気にしないでください」
『本当に?』
「はい、持ち出した本はないですし…」
長期の休み中には大学は完全に閉められる為、資料室を使うことはできなくなるのだ。本を持ち出さなくて良かったと思う日和。
『そうじゃなくて』
「え?」
『会えなくて平気?』
耳元で囁くように聞こえた声に、またどきりとしてしまう。
『寂しくない?』
電話口で意地悪な笑みを浮かべている佐倉を容易に想像できる。それと同時に寂しさが襲う。今週会えなければ、来週からはもう長期休みになる。資料室が使えないという事は、唯一の約束も無くなるという事。
「あの…、休み中も、忙しいですよね?」
『出張もあるし、卒論も見なきゃだしね…』
今までの約束が無くなるのなら、新しい約束を作ればいいだけのこと。
「…休み中、もし迷惑じゃなかったら、あの…」
『なに?』
でもそれは、すごく勇気がいるこでもある。
ドクドクと心臓が震えて、それに合わせて携帯電話を持つ手も震えていた。