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資料室の恋人
第9章 車窓の花火
たこ焼きを買ってしばらく歩いていると、明里と直也がヨーヨー釣りを眺めているのが見えた。
「あっ!日和!せんぱーい!」
満面の笑みで駆け寄ってきた明里の手には綿あめが握られている。直也が買ってあげたのだろう。
「そろそろ花火始まるよ!あっち行こう!」
「え、あっ、ちょっと明里!」
日和が明里に連れられていくのを見ながら、航平と直也は後を追って歩き出す。
「航平先輩、日和とはどうなんですか?」
直也は手に持っていたポップコーンを食べながら、ぼそりと呟いた。
「いや…それこっちのセリフだから」
「え?」
「明里とはどうなの?お前らいつまで友達なの?」
あ〜…と言って恥ずかしそうに考え込む直也を見ながら、航平はポップコーンに手を伸ばす。
「友達のままでいいの?」
「…そういうわけじゃないですけど、今のままでもそばにいれるし」
航平がじっと見つめると、直也はぼりぼりと頭を掻いてハァと息を吐いた。