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資料室の恋人
第2章 C棟とエッフェル塔
「そんなんじゃないってば!」
「そーなの~ぉ?」
腕を組んでにんまりと笑うお母さん。何を期待しているのか何となく分かるけど。
「資料室に行ってるの。1人の方が静かに読めるし」
先生もいるけど。でも、それを言うとまたややこしそうだったから言わなかった。
「なぁーんだ。デートじゃないの」
「違うってば…あ、私そろそろ行くね」
腕時計を見ると針は11時46分を差していた。
「はいはい、気をつけてね」
外に出ると良い天気で、5月のさらりとした風が吹いた。自転車に跨ると、一気に坂を下った。